京都が誇る銘木「北山杉」
その特徴は 真円で真直、木肌が滑らかで光沢があり、緻密で硬く、元末で太さが変わらない等とされています。高い技術と丁寧な仕事により造り出された北山丸太は、和風建築や数寄屋建築において、床柱等として重宝されてきました。しかし近年の住宅事情の変化により、和室や 床の間離れが進み、その販売本数は全盛期の約 1/10 程度と低迷しています。強力なブランド力と知名度を誇る北山杉でさえ、価格低迷や後継者不足等、他の林業と同様の問題を抱えています。
その利用促進を図る試みとして、北山杉の床柱からスツールを製作しました。
凹凸のある丸太を必要最小限の加工で接合し、重心が均一になるように設定しました。互いが支え合うその姿は、丸太の生産過程でみられる天日乾燥の光景を模したものです。丸太の断面にあたる座面には、ユニークな形の背割りや 手間ひまかけて施された枝打ちの跡が現れ、脚は艶のある美しい木肌をそのまま活かしたものとし、北山杉の魅力を存分に感じることのできる形態としました。
共同制作：萬代製作所 萬代 英志
撮影：Pace & Space 鈴木 健太
